若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会

2016年01月07日

法務省が「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」の資料を公開しています。
法務省 第3回ヒアリング及び意見交換
民法の成人年齢や選挙権を18歳からとするのならば、無論刑事法制でも少年法ではなく成人と同じ刑罰にするべきだとの意見が出ています。
現在の日本は少年による犯罪が起きると最初に加害者の人権を守ろうとする傾向が強く、被害者が死亡した場合においてはまるで「死人には人権はない」と思える状態です。
そもそもなぜこんなに加害者を保護するのか?
それは少年法の目的が「加害者を更生し社会で生きていけるようにする」となっているのが原因です。

なので犯してしまった罪、被害者、遺族よりも重要視されやすいのではないかと思います。

刑法の教科書の始めに「刑罰の本質は応報」書かれています。応報とはつまり
「やった罪には罰で返す。しかし私的制裁が禁止されているので代わりに国家が処罰しましょう。」
という意味なのです。

しかし現実には応報より更生に力を注がれるので被害者・遺族としては歯がゆい思いが強いのではないのでしょうか?

この問題について考えるには次の要点を抑えることが重要と思います。
①少年法と刑法の関係性
②やった罪に対しての応報と更生のバランス
③被害者が死亡した場合の人権の扱い

まず①についてですが「少年法を廃止しろ」という方に知っていただきたいのは少年法を無くすことのリスクです。
少年法が無いと「補導」や家裁で審判にかける事が出来なくなります。
なので少年法を廃止するのではなく何かの要素を追加していくほうが現実的ではないでしょうか。

続けて②ですが、成人の裁判においても反省の姿勢や更生の余地という考えがあります。
まして少年であれば将来性や更生の可能性が高いとみなされるので罪が軽くなるというより社会復帰のための刑罰という位置づけになるわけですね。
ここで考える事は「更生を許せる過ちなのか」「遺族の無念をどう反映させるのか」ではないかと思います。
応報を重視するのではあれば残酷な殺人を犯した場合、少年・成人であっても死刑にするべきでしょうし、更生を重視するのであれば更生出来る要素を探すとなり、そして裁判で争う。
正直な話、とても難しい問題であります。これはより多くの議論が必要でしょう。

最後に③、現代は死人に口無しというべき状況で、例えば報道では加害者少年は名前は伏せられるのに対して被害者は未成年であっても実名報道がなされます。
確かに死亡した場合、証言も何も出来ないですし何かを訴えることも出来ません。つまり死者の権利は保護されません。
日本の法体系が生きている個人に人権がつくとされている以上、この問題は変わらないでしょう。
「被害者が死亡した場合、もっとも身近な遺族が代理・代襲出来る特例」を作れば別ですが。


今回は解説というより私の考察のみ述べてしまいました。
意見は人それぞれですので、多くの人にこの問題を考えて議論してもらえると良いと思います。


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